バイリンガルに育てたい?

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前回、サンスクリット語まではいかなくとも、他言語を乳幼児期に聞かせることが、バイリンガルへの近道(裏技?)であると書きましたが、今回は、どのように聞かせればよいのか、または、どうしたらダメなのかを紹介します。




子どもは、その家庭で頻繁に話される母国語をまず習得する傾向があり(当たり前のことですが・・・)、そして、母国語(の周波数)を習得するのと同時に、母国語以外の言語に対する感受性/周波数が徐々に失われていきます。
その臨界が、だいたい2歳であるということは、前回書いた通りです。

すなわち、0歳、1歳の時代にその感受性の減少を食い止めるべく他の言語をたくさん聞かせることが、実はバイリンガル教育には有効であるというのが最近の定説。


では、2歳までに何をすればいいのでしょうか?





外国語で話しかける?

英会話スクール?

CDやDVDを毎日見せる?





巷にあふれる情報の中で漂流するママたちに、以下、ワシントン大学のクール(Patricia k. Kuhl)らが行った、赤ちゃんに関する実験を紹介します。(*)



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●実験1
・1歳未満の赤ちゃん32人を、2つのグループに分ける。全員英語が母語。
・4週間にわたり、赤ちゃんたちに絵本やカード、人形などを使うセッション(言語のレッスン)を行う。話すのは大人です。
・ セッションで使う言語:グループAは英語、グループBは中国語。

●結果1
4週間後、赤ちゃんたちに英語にはない中国語の(周波数の)音を聞き取れるかどうかをテストしたところ、グループBの赤ちゃんたちは、Aの赤ちゃんたちと比べ、その成績が格段に良かったという結果。そのレベルは、中国語ネイティブの赤ちゃんと同じ。
(その聞き取り能力は、しばらく続くこともわかった。)


赤ちゃんの脳は、本当にスポンジのようですね。






続いて、次の実験。






●実験2 
次に、言語のセッションを人間がやるのではなく(対人ではなく)、DVDや音のみ(CD)で行ってみる。
内容と期間は同じ。グループAは英語のみ、グループBは中国語。

●結果
聞き分けテストの結果、グループAとグループBは同じ成績。
実験1と同様、グループBの赤ちゃんたちは、4週間にわたり中国語に触れましたが、音を聞き分ける能力は結局つきませんでした。


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いかがでしょう。

やわらかい赤ちゃんの脳に他言語のシナプスを植えつけることは、短期間であってもとても有効であることが、一目瞭然。

しかし、この実験結果に従うと、導入方法が重要、すなわち、学習効果についてはCDなどの「音」をただ流すだけでは、ほぼ無いに等しいということがわかります。




音声や映像がダメということではないと思いますが、やはり、実際の人間の会話を通しての動機づけが、習得の手がかりであることは、間違いなさそうですね。



聞くには「listen」 と 「hear」と2種類ありますが、前者が耳を集中させて理解するという意味であるのに対し、後者は音が聞こえている状態のイメージ。
(ちなみに、英語のテストはlistening test といいますが、hearing test とは聴覚テストを指します。)

分かりやすく言うと、人間が相手だと赤ちゃんの反応はlisten 、CDなどが相手の場合 hear ということなのでしょうね。












バイリンガルに育てたいならば、対話を大切にしていくことがキーとなりそうです。



ベビーシッティング コーディネーター とみた



*この実験はあくまで2歳までの短期的な外国語への接触と効果を見たものなので、実際その効果がどれくらい続くか、その後の子どもの外国語習得にどのように影響するのか、などについては諸説あり。ただ、どの説についても当たり前ですが、「有益である」はあっても、「弊害あり」という結論はなさそうです。また2歳までの外国語教育と、それ以降の外国語教育はまったく別物なので、またそれについては別述で・・。


出典:
Kuhl, Tsao & Liu (2003) Foreign-language experience in infancy: Effects of short-term exposure and social interaction on phonetic learning. Proceedings of the National Academy of Sciences, 100(15), 9096-9101.

 

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